西新宿の高層ビル群、その無数の光が夜の闇に浮かび上がる頃、ひっそりとした怪談が語られます。深夜のエレベーター、無人のオフィスフロアを通り過ぎると、不意に行き先もなく最上階へと向かうことがあるのです。誰もボタンを押していないはずのエレベーターが、無音のまま最上階で止まり、まるで見えない誰かを迎えるかのようにドアが開く。そして、そこにはただ無限の闇と冷たい風が吹き込むばかり。その風には、過去の囁きが混じると人々は言います。最上階ではかつて一人の魂が命を絶ち、その痛ましい想いが夜毎エレベーターを呼び寄せているとか。高層ビルの狭間で行き場を失った霊が、静かな夜に再びこの世へと姿を現し、もう二度と戻ることのない過去を探しているのかもしれません。その静寂に隠された悲劇は、夜空に映るビルの灯りにさえ、消えない影を落とすのです。
エレベーター
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西新宿
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