西新宿の高層ビル群の中に、不可思議な空気を纏うビルがあるといいます。

そのビルに一歩足を踏み入れると、突如として目眩や吐き気、激しい頭痛に襲われるという証言が、複数のオフィスワーカーから報告されています。特に深夜、人気の少なくなった時間帯には、エレベーターホールで誰かが息苦しそうに咳き込む声が聞こえたり、廊下に煙が立ち込めているような錯覚を覚えたりするといいます。

このビルでは、建設から間もない頃に大規模な火災が発生し、多くの尊い命が失われたと伝えられています。火災報知器が作動せず、上層階に逃げ場を失った人々の無念の想いが、今もなおビルに染み付いているのではないかと噂されています。

不思議なことに、これらの現象は特定のフロアで強く感じられるそうです。そのフロアは、かつての火災で最も多くの犠牲者を出した場所と一致するといいます。

都市の発展の陰に隠された悲しい記憶が、今なおこの場所に留まっているのかもしれません。