静かな水をたたえる池は、時として奇妙な姿を映し出すと言われています。特に夕暮れ時、水面が朱に染まる頃、水中から人の顔のような影が浮かび上がることがあるといいます。目撃者の証言によれば、その顔は若い女性のもののように見え、悲しげな表情を浮かべているとのこと。
この現象について、地域の古老たちは興味深い言い伝えを残しています。この地が内藤家の下屋敷だった時代、身分違いの恋に落ちた女性が、思いを遂げられぬまま池に身を投げたという話です。
不思議なことに、この現象が目撃されるのは、雨上がりの静かな夕暮れ時が多いそうです。水面が鏡のように凪いだその時、池の底から誰かが現代の私たちを見つめているかのよう。
都会のオアシスとして親しまれる御苑の池も、時として幽玄な物語の舞台となるのです。
池の怪
地図
新宿御苑
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